4.1 ワークフローとは

 ワークフロー管理連合(WfMC)の定義では、「ビジネス・プロセス全体あるいはその一部の自動化であり、これによってドキュメント・情報・タスクが、手続き規則に従って、担当者から担当者に引き継がれる」機能であるとしている。ビジネス・プロセスとは、言い換えれば「業務プロセス」であり、ドキュメント・イメージとしての文書の流れと保管を管理するドキュメント・マネジメント・システムの重要な機能のひとつといえる。
ワークフローは、いわゆるグループウェアにも簡単なワークフロー管理が搭載されており、出張申請や稟議申請など組織内の電子的な申請ルート設定などが上げられる。だたし、グループウェアでは、例えば文書の流れを電子メッセージ(社内メール・電子メール)の流れに代え、必要なルートに従ったメッセージの配信、メッセージの配信過程の管理などの簡単なワークフロー機能が提供されているが、業務プロセス自体を管理するためには、業務系で必要とされる大量の業務プロセスをワークフロー管理することが可能なエンタープライズ・レベルの製品が主流となる。

4.2 ワークフロー・システムの活用

 現在、ワークフローが最も利用される業務処理は、組織の基幹業務に直結した業務、例えば生損保における保険申込と審査、支払い査定業務、クレジットカードの申込審査や金融機関における融資審査などの基幹業務系で、定型的なビジネス・プロセスを行なうためプロダクティブ型と呼ばれている。
  また、多くのドキュメント・マネジメント・ソフトウェアでは事務処理系(出張清算、交通費清算、購入申請など)で社内承認ルートが設定されているような業務処理をネットワーク上で行えるワークフロー(アドミニストレーティブ型)や資料回覧などの非定型的な業務系のワークフロー・ルートを設定できるアドホック型の処理機能を提供している。今後は、システム設計、プログラム開発、マニュアル製作や各種デザインなど複数の作業者が協力してひとつの業務を実行できる環境を提供するコラボレーティブ型のワークフローに分類できる。

ワークフロー・システムの活用
  1. 処理時間の短縮
    紙によるオフィスワークでは処理時間の大半が担当者同士の紙の受け渡しに費やされるといわれている。極端な場合、伝票決裁では起票者、決裁権者と事務部門の全てが異なる建物にいることもあり、伝票の送付だけで数日を要すことになるが、ワークフロー・マネジメントでは伝票をデジタルイメージで受け渡すため、次の作業者に瞬時に送付することや、並行処理、適切なタイミングでの作業の催促が可能となるため、業務処理時間を大幅に短縮できる。特に、ワークフローの各ポイントで業務処理の滞留状況、作業者の処理状況が把握できるため入力ミスや判断ミスによる対応時間や、同様の書類を複数の担当者が繰り返し入力するなどの業務処理上の無駄を防止でき、全体的な処理時間の短縮が可能となる。
  2. 業務管理の効率化
    ワークフロー・マネジメントにより、担当者が注意しなくても業務プロセスに沿った手順で業務処理が行えるため、業務プロセスの間違い生じることがなく、かつ管理工数を削減することができる。また、同じ役割の担当者が複数いる場合、それらの担当者間での作業負荷の平準化や進捗状況の把握が行なえるため、全体の業務量、個々の担当者の業務量や処理能力が把握・記録でき、業務管理の効率化を実現できる。文書情報マネジメント・システムにおける文書情報の受け渡しはネットワーク上で確実に行なわれ、着信した情報はワークリスト(キュー)に一覧表示されるため、手渡しによる資料の紛失や置忘れなどの事態を避けることができることも業務管理の効率化につながる。
  3. BPR(Business Process Re-engineering)に結び付く
    ワークフロー・マネジメントは業務プロセスを明確にシステム化できるプロセス定義ツールであり、また、業務量や処理時間の正確な記録による業務の定量分析が可能なため、業務プロセスの見直し、革新的なプロセスの定義など、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の推進上重要な機能といえる。

4.3 ワークフローによる業務改善の具体例

 文書情報マネジメント・システムにおけるワークフローの事例として、企業の物品購買管理システムを例に解説する。

ワークフローを導入する前の処理の流れ

ワークフローを導入する前の処理の流れ

4.3 ワークフローによる業務改善の具体例

 文書情報マネジメント・システムにおけるワークフローの事例として、企業の物品購買管理システムを例に解説する。

ワークフローを導入する前の処理の流れ

ワークフローを導入する前の処理の流れ
  1. 物品の購入申請を行なう。
    物品購買では、最初に購入申請者または依頼を受けた購買担当者が、発注先より購入品目の見積りを入手し、上長に対して購入を申請する。
  2. 上長の承認を得た申請書は、審査部門で審査承認が行なわれる。
    申請を受けると、申請書、見積書、場合によっては発注先の企業情報などを元に、審査担当者が審査を行い、買い与信の確認や購買承認などを書類ベースで審査する。
  3. 購買担当部署で発注手続きが行なう。
    購買担当者は、申請書、見積書、与信情報等のその他の情報をもとに、注文書を作成し、発注先に送付する。場合により、発注先から注文請書等の確認書類を入手することもある。
  4. 注文した物品が納品される。
    納品された物品と納品書の確認を行い、受領書を発行する。発注先では、受領書をもとに請求書を発行する。申請書や注文書をファイルから抽出して納品書と見比べる場合もある。
  5. 支払処理を行なう。
    請求書を受け取ると、申請書、見積書、発注書、注文請書、納品書を元に、物品が正しく納品されていることを確認し、支払処理を行ない、物品購入のビジネス・プロセスが完結する。

 全てが紙の情報を元に処理されるため、案件ごとのファイリング、資料検索の方法、納期の管理などの事務作業が必要となる。又、案件処理完了後は監査に耐えられる状態で、全ての資料をファイルし、管理する必要がある。

 これに対し、ドキュメント・マネジメント・システムを導入し、ワークフローによる管理を行なった場合は、イメージの活用とワークフロー機能により、速やかな処理が実現する。


ワークフロー導入による業務プロセスの改善
  1. 見積書をスキャンし、PC上で作成した購入申請に添付して上長に申請する。
  2. 上長の承認が行なわれると、ワークフローにより申請書は審査担当者に回付される。 審査担当者は、発注先会社名から与信情報を入手し、殆どの場合自動与信で許可を与える。
  3. ワークフロー・システムは承認された申請から自動的に発注書を作成することができる。また、全ての必要情報は案件単位にシステム内で管理され、閲覧、検索が可能となる。
  4. 発注先に対し注文書を発行し、納期管理を行なう。システム内で管理された期間内に納品されない場合は、督促または納期確認指示を購買担当者に対し行なう。
  5. 物品が納品されると、注文番号を元に注文書と物品の確認を行ない、受領書を発行する。納品書はスキャナで入力され、イメージ管理される。
  6. 支払担当者は請求書を受領すると、正しく納品されているかを請求書に記載された注文番号を元に、申請書、注文書、納品書等の書類イメージで確認し、支払処理を行なう。

 購買部門の責任者は、ワークフローとしてデザインされた各処理のキュー(作業単位)を確認することで、滞留案件や全体の処理の進捗状況をいつでも確認することができ、バックオフィス系業務の生産性と正確性を大幅に向上させることが可能となる。

 下図は物品購入管理として実際にデザインされたワークフローの連携図で、各アイコンがひとつの処理を表しており、アイコン右上の数値は各処理で待機または処理中のキューの数を示している。一般にワークフローの連携図は、アイコンを用いて判りやすくデザインされており、業務プロセスの可視化を可能としている。

ワークフローの設定例

 これらのアイコンはドキュメント・マネジメント・システムで行なうひとつの処理(作業)を示している。ワークフロー・システムでは、業務全体のワークフロー・デザイン、各処理(作業)の確定、各処理を連携した業務プロセスの構築、実行と見直しにより業務処理のボトルネックを解決するようなワークフロー・デザインの変更、業務の見直しをPDSC(Plan-Do-See-Check)サイクルで改善していくことが可能となる。